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Symphony~accelerando

それからスベルマンを取り巻く状況は大きく変わった。

ね~みと主は「この類稀なる才能は埋もれさせておくべきではない」と、意見が一致し
すぐにピアニストのO先生に連絡し、スベルマンを見てもらうように手配した。
O先生はスベルマンの演奏を聞くなり
「タッチは荒いかもしれないけどいいものを持っている。ピアノに触るのが初めてですって?!もし本当なら1000年に一度の大天才よ!?」
と、驚き、早速基礎から教えましょう、ということになった。

その日からO先生は自身の立て込んだスケジュールの合間を縫ってスベルマンを教えに来た。
だが少し経つとスベルマンのほとんどの時間がピアノのレッスンに費やされる状態になり
本来の業務であるね~み家のあらゆる事に関わる時間が無くなっていった。
スベルマンはピアノの前で過ごす至福の時間が増えた事が嬉しくもあり、だが、一方主に対して心苦しくもあった。

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スベルマンの生来の音楽的勘の良さ、センスの良さ、飲み込みの速さは正に天才的で
O先生が1言えば残りの99を理解していた。
ピアノに時間を取られてはいたが、もちろん自分の仕事もなるべく完璧に近くこなそうとしていた。
昼間は仕事の合間を使い、夜は毎晩ピアノに向かっていた。
それは一心不乱とでもいう姿だった。
一体何が彼をそこまで駆り立てるのか。スベルマンは自分でもわからなかった。
ただ、弾きたい、彼を突き動かしている衝動はそれだけだ。
O先生はその彼に惜しみなく自身の持てる技術と知識を与えた。

O先生は、ピアニストとして世界で活躍しており、多忙を極めていたが、それでも月に1度はスベルマンのレッスンの為に時間を空けていた。
スベルマンからすればかなり歳の離れたとても落ち着いた大人の女性だ。
たおやかという言葉がこれほど似合う女性はそうそう居ないであろう。
スベルマンはそのレッスンが待ち遠しくてならなかった。
先生の期待に沿えるように、少しでも自分のピアノが成長するように。
O先生のレッスンは、「作曲者の意図するところを表現できるように…」
「ここはどうしてこういう表現になってるのかしら?」「作曲者はどう感じていたかしら?」
「じゃあここはどう弾くべきだと思う?」
「この人は、この曲を書いた前の年に親しい人をなくしてるのよ、どういう気持ちで書いたと思う?」
曲の表面ではなく、深い意味を感じて考えて弾くことを求められるものだった。
スベルマンはこのレッスンの時が楽しくてならなかった。
もちろん、楽典やら小難しい講義やテクニック面の習得も面白かったが、
作曲家が何を考え、この曲を書いたのか。それはとても興味深いことであった。
暇を見つけては音楽や作曲家に関する書物を読むようになっていった。

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ある日のレッスンの事。
O先生とスベルマンはある曲の背景について語り合っていた。
最初の頃は先生が一方的に講義するスタイルだったが、ある時期からスベルマンも意見を言うようになっていった。
二人は肩を並べて1台のピアノに向かい、譜面立ての上の楽譜のある小節について話していた。
「ここは神話の中の妖精が男を誘惑しようとしてるところでしょう、どう表現する?」
「そうだね、誘惑するなら、こう、かな…」
と、スベルマンは鍵盤の上の指を走らせた。

「そうかしら?」と、O先生。
「もし、私がこれを弾くんであれば、多分こう弾くわね」
と、その部分を自分の表現で弾いて見せる。
それはスベルマンにとっては目から鱗の表現方法であった。
(O先生はやはりすごい…プロは違うんだ…)
スベルマンは先生の技術に、知識に、解釈に感嘆した。
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プロフィール

ね~み♪

Author:ね~み♪
子供の頃習っていたピアノ。
2013年より25年ぶりに独学で再開、
2014年3月より先生について習い始めました。
夫と二人の子供がいるアラ50です。

♪ただいま練習中♪

ツェルニー40番-39番
バッハ 平均律2巻 8番フーガ
ショパン エチュードOp.25‐12

2017年レッスン終了した曲

バッハ パルティータ6番 トッカータ・インベンション2番
平均律2巻 3番プレリュード・12番プレリュード・パルティータ1番 プレリューディウム
カッチーニ アヴェマリア(編曲もの)
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